東京都立大学ヘルスプロモーションサイエンス学域
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避難所生活では「生活不活発病」にご注意を

2019年10月15日

准教授の西島です。

 

今回の台風19号で被災された皆様に、心よりお見舞い申し上げます。一日も早く日常生活が取り戻せることを、心より願っております。私が住む日野市でも浅川と多摩川が氾濫する一歩手前となり、不安な夜を過ごしました。自然災害は他人事ではないことを本当に痛感しています。

 

表題にあります通り、避難所生活では「生活不活発病」にくれぐれもご注意ください。特に、高齢者や持病のある方は要注意です。注意しないと、いつの間にか、身体機能が低下するだけでなく、うつなどメンタルヘルスも悪化してしまいます。

 

避難所は十分なスペースがなく「動きにくい」環境であることから、無意識に「動かない」という決断をしてしまいます。また、「周囲に迷惑をかけたくない」という遠慮の気持ちも、この「動かない」という決断に拍車をかけます。そして「動かない」生活をしばらく続けると、特に高齢者ではいつの間にか「動けなく」なってしまいます。これが避難所生活で身体機能やメンタルヘルスが悪化する大きな原因となります。

 

「動きにくい」⇒「動かない」⇒「動けない」

この負の連鎖を断ち切ることが、「生活不活発病」を防ぐために重要となります。

 

「トイレに何度も行くと迷惑だから」という理由で水分の摂取を控えることも止めましょう。2016年の熊本地震の際にも話題になりましたが、水分を十分に摂らず、さらに動かないでいることは、エコノミークラス症候群(急性肺血栓閉塞症)のリスクにもなります。むしろ、トイレに何度も行くことは生活不活発病の予防にもなる、と考えてください。

 

生活不活発病については、こちらの厚生労働省によるパンフレットもご活用ください。「チェックリスト」もあります。生活不活発病は、本人の意識と周囲の方々のちょっとした気遣いで、防ぐことができるはずです。

 

今回の災害の復興まで、地域によっては数カ月以上かかってしまうこともあるかと思います。もう少し被災地の現状が落ち着けば、東日本大震災の時のようにアスリートの方々が被災地に応援に向かうこともあるかもしれません。この時アスリートは、「こんな時にスポーツなんて・・・」と批判されることを想像しながらも、居ても立っても居られず被災地に向かったそうです。「被災地でスポーツ」。今はそんな余裕はないかもしれませんが、是非そうなった際には、自治体の方々は快く受け入れてください。きっと、被災者の皆様に笑顔が戻るきっかけになるはずです。

 

首都大学東京

西島 壮